導入事例

株式会社 イハラ製作所様

マシニングセンタ38台の稼働状況をラインごとに集計。稼働率や可動率では測れなかった“本当の生産性”が明るみに。

お客様のご紹介

株式会社 イハラ製作所様

イハラ製作所様は、汎用旋盤の設計製作を源流とする設計・開発・製造メーカー。
その技術力を広く展開し、工作機械や産業用ロボットの製作・セットアップで製造業の生産性向上に貢献。エンジン用のウォーターポンプやオイルポンプをはじめとする、アルミダイカスト量産品でも多くの実績を有します。
国内外6拠点をまたぐグローバルネットワークにより、一貫生産が可能。部品の軽量化や省エネルギー化など、お客様ごとの課題に合わせた高品質な製品を実現し、さまざまな産業の発展に貢献しています。

所在地:静岡県浜松市浜名区染地台5-5-7(浜北工場)
従業員数:国内250名(2024年6月現在)
ホームページ:https://iharamfg.co.jp

製造業向けIoTシステムNazca Neo Linka 導入状況

導入機能

 
  • 稼働監視

  • 稼働管理

導入規模

  • 導入拠点数:1拠点(浜北工場)
  • 導入機械台数:合計38台

機械側との主な接続方法

  • LAN
  • 接点信号

1日に1万数千点以上の製品を出荷する浜北工場では、機械の連続稼働が生産性の要です。
100台を超えるマシニングセンタのうち、主要な38台をNazca Neo Linkaと接続。ラインごとの稼働データを収集し、アンドンやガントチャートに表示しています。

導入背景と決め手

Nazca Neo Linkaを導入したきっかけは、2018年から採用してきた生産性の評価指標「OEE=設備総合効率」を、タイムリーに見える化したいと考えたことです。

OEE = 時間稼働率(稼働時間)× 性能稼働率(生産スピード)× 良品率(品質)
計算式には稼働時間や出来高だけでなく、加工スピードや良品率などが含まれ、設備全体の生産実態をひと目で把握しやすい。

浜北工場の設備は、マシニングセンタだけでも100台を超えますし、基本的に24時間稼働です。稼働データはオペレーターがタブレット上に手入力していましたが、同じ製品を作っているのにサイクルタイムはラインごとにばらつきがありました。機械の停止状況も正確には把握できておらず、稼働データを設備から直接吸い上げるIoTの取り組みを急いでいました。そんな中、弊社社長が「加工組立系の製造業IoTに強い会社が浜松にあった」と教えてくれたのがゴードーでした。さっそく打ち合わせをお願いすると、細かなカスタマイズも「すべて対応できます」と即答。これが依頼の決め手となりました。

大きなところでは、生産管理システム上にある一部のデータをOEEの算出に使うため、Nazca Neo Linkaとのデータベース連携が必要でしたが、これは難なくクリアすることができました。また、古い設備も多く心配しましたが、すべて接続できることが分かって安心しました。そこからさらに、何度も打ち合わせを重ねる中で、実現したかった仕様がどんどん明確に。「複数の機械を跨いだ1ラインごとのOEEを算出したい」「稼働状況は1分単位で見える化したい」といった希望もすべて反映してもらい、現場が必要とするシステムを実現できました。

イハラ製作所様のご担当者様
株式会社イハラ製作所
製造部 製造1課 課長
山本 幸伸 様
総務部 IT課 課長
堀尾 健人 様

効果

現場のモチベーションが高まり、ラインあたり月5時間ほどの生産余力が創出

Nazca Neo Linkaが本格稼働してから、早くも3年目に入り3つの効果を感じています。
1つ目は、稼働状況の見える化をきっかけにOEEが微増したことです。まず、オペレーター1人ひとりがダウンタイムに気づき、細かな改善に動けるようになりました。さらに、タブレットで手入力していた出来高を、Nazca Neo Linkaで自動的に記録できるようになったことで、入力時間が削減され、1ラインあたり月に5時間ほど生産余力が生まれました。

2つ目は、“対話の質”が向上したことです。正確な数字を追えるようになってから、生産計画も現場の生産能力に応じたものに。そのおかげで、生産管理部門と製造部門が同じ目標に向かって協力しやすくなりました。現場でも稼働状況を確認しながら、班長とオペレーターが停止要因や改善案をともに考える光景が当たり前になりました。社内の対話が以前よりも建設的になったと感じます。
毎朝朝礼で前日の生産実績を確認
毎朝朝礼で前日の生産実績を確認

そして3つ目は、OEEをもとに改善を進める風土が根付いたことです。計算式が細分化されている分、OEEを見れば生産性の善し悪しは一目瞭然です。OEEが目標に満たない時は、その日の稼働状況を遡れば「サイクルタイムが崩れていたな」「チョコ停が多かったな」と改善ポイントがひと目で分かります。

このようにボトルネックがひと目で見分けられるようになったことは、Nazca Neo Linkaを導入した一番のメリットかもしれません。やはり工場の生産性は、データで見える化してみないと実態が掴めないなと実感しています。

緑色=生産中、オレンジ色=計画停止、青色=段取り中、と視認性の良い画面
緑色=生産中、オレンジ色=計画停止、青色=段取り中、と視認性の良い画面

今後の展望

OEE85%の達成に向け、71台のマシニングセンタを一挙にIoT化

2024年9月には、別ラインの33台にNazca Neo Linkaを拡張し、OEEの見える化と改善活動に取り組むことになりました。この増設で、浜北工場内における約3分の2のマシニングセンタの稼働状況が見える化され、規模を活かした生産性向上が期待できます。

先に38台の稼働データを記録してきたおかげで、OEEの目標値もおおむね80~85%に定まりました。単純に機械の時間稼働率だけを考えてみても、90%以上を維持しなければ達成の難しい目標です。そのため今後は、生産管理システムをBIツール(現場のデータを経営分析に活かすソフトウェア)と連携し、多角的な分析データを現場に提供していきたいと考えています。Nazca Neo Linkaで集計しているのは、日ごとの稼働状況や出来高。これらをBIツールで加工すれば、月次や週次の推移も見られますので、現場の改善に役立ててもらえると期待しています。

いずれは、他拠点でも「まだ見える化してないの?」といった会話が聞こえるくらい、データ管理にもとづく工場運営を当たり前にするのが目標ですね。

現場でも稼働状況をチェック、細かな生産調整や保全活動を行う
現場でも稼働状況をチェック、細かな生産調整や保全活動を行う

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